上原正吉(EarthLink Network Co., Ltd.)。Claude Codeを開発の主体に据え、20を超えるプロダクトを1人で同時に開発・運用しています。これは、その現場の実測記です。

この記事は、連載「AI社員と回す小さな会社 ── 費用を抑えて、頼むところから任せるところまで」の第 4 回です。連載の最後に、私が使っている Paperclip の設定・指示書・おすすめの形を無料で配布する予定です。
連載の目次
「自分の仕事を AI に任せたいが、何を契約して、何を買えばいいのか分からない」。前回の記事(連載の第 3 回・どの AI ツールで何ができるか)の冒頭で、こう考えている方に向けた記事を書くと約束しました。この記事がそれです。
AI に仕事を任せるなら、まず機械をそろえ、有料の契約を結ぶところから、と考える方が多いようです。24 時間動かすための機械を買い、有料のプランに入る、という順番です。任せる仕事も、まずはメールから、と考えがちです。前回の記事で私が挙げた仕事も、メール、記帳、Instagram、LINE でした。
調査してみると、そうはなっていませんでした。英語と日本語の公開の投稿 1,950 本から、AI に任されている仕事を取り出し、ソフトウェア開発を除いた 3,204 件を数えました。1 位はブログ記事の執筆(227 件)、2 位は SNS の投稿文の下書き(166 件)です。メールは、いちばん多い「仕分けと優先順位」でも 23 位(41 件)でした。メールの仕事を全部合わせても 126 件で、1 位のブログ記事の半分ほどです。
始める前に、機械や契約にお金をかける必要もありません。AI はクラウドで動くので、手持ちの PC かスマートフォンのどちらか 1 つがあれば始められます。この記事で取り上げる 10 の仕事は、どれも無料版の AI に頼めば、AI の費用は 0 円です。
この記事では、AI の使い方を 2 つに分けて書きます。
AI に頼むだけでも、作業そのものは AI がしています。お金がかかり始めるのは、無人で回したくなった時と、頼む量が無料版の上限を超えた時です。
無料版にも、使える量の上限があります(2026 年 10 月 19 日に各社のヘルプで確認)。Claude の無料版には 5 時間ごとに戻る上限があり(Anthropic)、Gemini の無料版にも 5 時間ごとと週ごとの上限があります(Google)。どちらも、何回までという数は出していません。上限に当たったら、戻るまで待つか、有料のプランに上げます。ChatGPT の無料版は、ふつうの文章のやり取りには上限が無く、画像を作る、ファイルを読ませる、詳しく調べる(Deep Research)といった機能ごとに上限があります(OpenAI)。ふだん文章で頼むだけなら、ChatGPT の無料版で上限に当たることが少ないのは、このためです。頼む仕事の量が多い時や、画像やファイルをたくさん扱う時は、無料版では足りないことがあります。
もう 1 つ大事な違いは、使える AI のモデル(返答を考える AI そのもの)です。3 社とも、いちばん賢いモデルは有料のプランでしか使えません(2026 年 10 月 19 日に確認)。
無料版でも、ふだんの文章を書く・まとめる・調べるには十分なことが多いです。ただ、より賢い返答や、より自然な文章など、AI の性能をいちばん引き出したい時は、有料のプランを使う必要があります。その場合は、ChatGPT Plus(月 3,000 円)、Google AI Pro(月 2,900 円)、Claude Pro(月 $20)のどれか 1 つです。ChatGPT Go(月 1,400 円)は、無料版と同じ軽いモデルです。使える量を増やしたい時や、無人で回したい時なら、Go を含めて有料のプランを 1 つ(月 1,400〜3,000 円ほど)足せば、多くの仕事がまかなえます。
この記事は、製品からではなく、仕事から話を始めます。何に任されているか、何が要るか、どう始めて、いつお金がかかるか、の順です。
連載の第 2 回(「AI 会社」の実態を分類した)で集めた日本語の投稿に、今回、英語の投稿(Reddit、Hacker News、Dev.to、Medium)を足しました。そのうえで、書き手が AI に任せていると書いている仕事を 1 つずつ取り出しました。1 本の投稿に出てくる仕事 1 つを、1 件と数えています。英語の投稿で、同じ人が同じ文章を別のコミュニティに出したものは、1 本だけ残しました。
集まったのは、投稿 1,950 本、仕事 4,170 件です。取得元は、note 589 本、Reddit 504 本、Threads 242 本、Facebook 195 本、Dev.to 173 本、Hacker News 109 本、ほか(Zenn・Qiita・Medium など)138 本です。このうち 966 件はソフトウェア開発の仕事だったので、この連載の対象から外し、残りの 3,204 件で順位を付けました。
「主なきっかけ」は、その仕事がいちばん多く始まった形です。「人が頼む」は人がその都度頼むこと、「決まった時刻」は、たとえば毎朝 7 時のように決まった時刻に動くことです。表の SNS は、Instagram や X などの交流サービスのことです。
AI に任されている仕事、件数の多い順に 15 件(英語と日本語の投稿を合わせて数えたもの。ソフトウェア開発は除く)。
| 順位 | 仕事 | 件数 | 主なきっかけ |
|---|---|---|---|
| 1 | ブログ記事の執筆 | 227 | 人が頼む |
| 2 | SNS 投稿文の下書き | 166 | 人が頼む |
| 3 | 朝のブリーフィング(今日の予定と優先順位) | 136 | 決まった時刻 |
| 4 | ニュースの定期収集と要約 | 116 | 決まった時刻 |
| 5 | タスクの整理・振り分け | 94 | 人が頼む |
| 6 | 画像・イラスト・デザインの生成 | 84 | 人が頼む |
| 7 | 翻訳・文章の校正・書き直し | 77 | 人が頼む |
| 8 | SNS の自動投稿 | 76 | 決まった時刻 |
| 9 | メモ・知識の整理と蓄積 | 74 | 人が頼む |
| 10 | 会議の議事録・要約 | 64 | 人が頼む |
| 11 | 記事・原稿の執筆(ブログ以外) | 64 | 人が頼む |
| 12 | 競合・市場・企業の調査 | 64 | 人が頼む |
| 13 | SNS の数字(いいねの数・投稿を見た人の数)の記録と、その意味の分析 | 62 | 人が頼む |
| 14 | 指定したテーマの深掘り調査 | 61 | 人が頼む |
| 15 | 家族・家事・生活の段取り | 55 | 人が頼む |
10 位から 12 位は同じ 64 件です。メールの仕事は、仕分けと優先順位が 23 位(41 件)、作成・送信が 30 位(36 件)、返信の下書きが 32 位(35 件)でした。
1 つ、読み方の注意があります。日本語の投稿は「AI 社員」「AI 秘書」の話から集めていて、note のものが多く、AI に note の記事を書かせている話がよく出てきます。ブログ記事が 1 位になったのには、この偏りも効いています。英語の投稿だけで数えると、1 位は画像・デザインの生成(48 件)、2 位は記事・原稿の執筆(41 件)、3 位は翻訳・校正(40 件)で、ブログ記事は 4 位(34 件)でした。それでも、英語だけで数えたメールのいちばん上は「作成・送信」の 15 位(20 件)で、1 位の画像の生成(48 件)の半分以下です。
数え方を変えても、上位は大きくは動きませんでした。同じ人の投稿を何本あっても 1 件と数えても、本人が任せていると言えないとして外した分(補足 C)を戻しても、上位 4 つの顔ぶれは同じです(3 位と 4 位の順番は入れ替わることがあります)。
次の表は、すべての仕事を領域ごとにまとめたものです。自分の仕事がトップ 15 に無くても、ここで探せます。
| 領域 | 件数 | 主な仕事(件数) |
|---|---|---|
| SNS・ブログ・広報 | 621 | ブログ記事の執筆 227/投稿文の下書き 166/自動投稿 76/数字の記録と分析 62/ネタ探し 54 |
| 情報収集・リサーチ | 383 | ニュースの定期収集 116/競合・市場の調査 64/深掘り調査 61/普段の調べもの・質問 40 |
| 文書・資料・メモの整理 | 374 | 翻訳・校正 77/メモの整理 74/記事・原稿の執筆 64/提案書・スライド 49 |
| 予定・タスク管理(秘書の仕事) | 326 | 朝のブリーフィング 136/タスクの整理 94/リマインド 44/日程調整 22 |
| 個人の生活・家計・投資・学習 | 238 | 家事・生活の段取り 55/健康・睡眠・運動 39/学習の支援 37/投資 23 |
| マーケティング・分析・経営判断 | 206 | 経営の相談相手 50/売上や主な数字の分析 42/SEO(検索で見つけてもらうための工夫) 36 |
| 社内の連絡・議事録 | 164 | 議事録 64/進捗報告・日報 40/AI の担当への指示の取り次ぎ 20 |
| 画像・動画 | 153 | 画像の生成 84/動画の編集と生成 43/台本・絵コンテ 21 |
| IT の運用・監視・AI 自身の管理 | 137 | AI 社員そのものの管理と改善 49/サーバーの監視 29 |
| 営業 | 135 | 見込み客リスト 38/営業メール 30/提案書・見積 27 |
| 会計・経理・総務・法務 | 127 | 領収書・経費の記帳 37/売上・損益の集計 35/請求書と未入金の確認 24 |
| メール | 126 | 仕分けと優先順位 41/作成・送信 36/返信の下書き 35/要約 10 |
| お客さんの対応・問い合わせ | 66 | 自動応答 21/返信の下書き 15/顧客情報の整理 13 |
| ネットショップ・小売・製造 | 45 | 受注・在庫・納期 19/商品ページ 14 |
| 採用・人事 | 40 | 労務・給与 14/応募書類・面接のメモ 12 |
開発以外の 3,204 件をきっかけで分けると、半分以上(1,752 件)は、人がその都度頼んで始まる仕事でした。次が、決まった時刻に始まる仕事(856 件)です。ほかは、メールやファイルが届いて始まる仕事が 224 件、24 時間動かしている AI 社員に話しかけて始まる仕事が 159 件、きっかけが分からないものが 213 件でした。
ChatGPT、Claude、Gemini の AI は、それぞれの会社のクラウドで動きます。手元の PC がするのは、画面を出すことと、AI が指示した操作(ファイルを読む・書く、ブラウザを動かす)を実行することです。重い計算をするのは、手元の PC ではありません。
各社が公式に書いている条件は、多くが数年前の PC で満たせます。
ここから作った目安は、2018 年ごろ以降の Mac か Windows 11 の PC、メモリ 8GB です。これは各社の数字をまとめた私の目安で、どこかの会社が出している数字ではありません。Windows 10 でもこれらのアプリは動きますが、Microsoft のサポートが 2025 年 10 月 14 日に終わっているので、仕事のデータを扱う PC としては勧めません。
AI に頼むだけなら、PC かスマートフォンのどちらか 1 つで足ります。PC が要る範囲と、スマートフォンだけで足りる範囲を分けると、次の図のようになります。
どこで何が動くか。考える計算はクラウドで行われ、スマートフォンや手持ちの PC は、頼む・確かめる・手元のファイルを渡す側です。
スマートフォンだけで足りるのは、その都度頼む使い方と、AI 社員の仕組みの確認や承認です。PC が要るのは、手元のファイルやフォルダを AI に扱わせる時と、AI 社員の仕組みそのものを置く時です。
無人で回す時は、2 つに分かれます。有料のプランの予約の機能(決まった時刻に動くタスクなど)は各社のクラウドで動くので、PC を閉じていても動きます。一方、AI 社員の仕組みで無人で回すなら、仕組みを置いた PC(または借りたサーバー)を、電源を入れたままにしておく必要があります。ただし、Claude Code の予約のように手元のファイルを使うものは PC の上で動くので、PC が起きている間しか動きません。どの場合も、スマートフォンは結果を見て承認するためのもので、無くても構いません。
まずは手持ちの PC かスマートフォンで試してください。買い足しを考えるのは、遅いと感じた時か、PC を閉じている間も AI 社員の仕組みを動かし続けたくなった時です。よく話題に出る Mac mini のような機械は、その時に初めて候補になります。その計算は、記事の最後の補足(B)に置きました。
この連載で掘り下げる 10 の仕事です。トップ 15 の上のほうから選び、前回の記事で約束した仕事(メール、記帳、Instagram、LINE の返信)を足しました。上位のうち、タスクの整理、翻訳・校正、メモの整理は、無料版の AI に頼むだけで済むことが多いので、ここでは 1 つの仕事として立てていません。画像の生成は、SNS の投稿の回で一緒に扱います。
「無料版の AI に頼む」は、AI の費用が 0 円の始め方です。「有料のプランを 1 つ足すと」は、2026 年 10 月 16〜17 日に私が見つけたいちばん安い有料のプランで、何を無人で回せるようになるかです。その都度頼む仕事は、無人で回す必要があまりないので、何が楽になるか(頼める量が増えるなど)を書きました。いちばん右の列は、実際のアカウントで設定して見せる回です(第 5 回から第 16 回は近日公開です)。
| 仕事(順位) | 無料版の AI に頼む(AI は 0 円) | 有料のプランを 1 つ足すと(月額) | 詳しく書く回 |
|---|---|---|---|
| ブログ記事・文章を書く(1 位) | Claude か ChatGPT の無料版のプロジェクト(指示と資料を入れておく場所。Claude の無料版は 5 個まで)に、文体のメモと過去の記事 3〜5 本を入れておき、下書きを頼む | 無人で回す必要は少ない。たくさん頼むなら、使える回数が増える Claude Pro $20 か ChatGPT Plus 3,000 円 | 第 9 回 |
| SNS の投稿(2 位・8 位) | 文と画像を作らせ、自分で確かめてから Meta Business Suite(無料)で予約する。決めた時刻に投稿される | 毎朝、下書きが届く: 無料版でも 1 日 1 回・おおまかな時間帯なら作れる(第 6 回で試す)。時刻を決めるなら ChatGPT Go 1,400 円から(予約に入れるのは自分) | 第 6 回 |
| 朝のブリーフィング(3 位) | 毎朝、予定とメールを AI に見せて、今日の優先順位を頼む | 毎朝、決まった時刻に届く: Claude Pro $20(PC を閉じていても届く) | 第 7 回 |
| ニュースの収集と要約(4 位) | 毎朝、「〇〇のニュースを出典つきで」と頼む | 毎朝届く: 無料版でも 1 日 1 回・おおまかな時間帯なら作れる(第 6 回で試す)。時刻を決めるなら ChatGPT Go 1,400 円から | 第 6 回 |
| 議事録(10 位) | 会議アプリが要約や文字起こしを出すならそれを使う。出ないなら文字起こしを無料版に貼って整えさせる | Meet で会議をするなら、頼まなくても AI がメモを取る: Google AI Pro 2,900 円 | 第 8 回 |
| Instagram の数字(13 位) | 数字の画面を月に 1 回スクリーンショットで撮り、貼って読ませる | 撮った画面を読んで表に足していく: Claude Pro $20(PC が起きている間に動く) | 第 9 回 |
| 深掘り調査(14 位) | Gemini の Deep Research は無料。ChatGPT の無料版にも回数の限られた版がある | 無人で回す必要は少ない。調べものが仕事の中心なら第 10 回 | 第 10 回 |
| メール(23 位) | Claude の無料版に Gmail をつなぎ、要約と返信の下書きを頼む。送るのは自分 | 決めた条件のメールが届いたら、Gemini が返信の文を作る: Google AI Pro 2,900 円(Gemini のアクティビティをオンにしておく必要がある。文が Gmail の下書きに入るかは第 8 回で確かめる) | 第 8 回 |
| 記帳(28 位) | 領収書の写真を無料版に貼るか、Claude の無料版に会計ソフトの公式の接続を 1 つつないで、仕訳の下書きを頼む。会計ソフトへの登録と確認は自分(会計ソフトの費用は別) | 無人で回す必要は少ない。頼む回数が多いなら Claude Pro $20 | 第 7 回 |
| お客さんの窓口(LINE) | 届いたメッセージを無料版に貼り、返信の下書きを頼む。送るのは自分 | 届いたら AI が下書きし、自分が承認して送る: AI 社員の仕組み(無料)と有料のプラン 1 つ、電源を入れたままの PC(または借りたサーバー) | 第 12 回(費用は第 13 回) |
表の言葉を補足します。
| 会計ソフト | 月額(税別) | 税込 | 撮影の上限 |
|---|---|---|---|
| freee のスターター | 980 円 | 1,078 円 | 領収書 月 5 枚 |
| マネーフォワード クラウド確定申告 パーソナルミニ | 900 円 | 990 円 | レシート 月 15 件 |
段階を 1 つ上がるごとに、費用が少し増え、人がやらなくてよい作業が少し増えます。連載の第 5 回で何を契約するかを示し、第 6 回から第 12 回で、AI のサービスやソフトを 1 つずつ取り上げます。
| 段階 | できること | 月額 | 詳しく書く回 |
|---|---|---|---|
| 0. 無料版の AI に頼む | 人が頼み、作業そのものは AI がやる。結果を使う・送るのは自分 | 0 円 | この記事、第 10 回 |
| 1. 有料のプランで、決まった時刻に動かす(多くはここから無人で回す) | 決まった時刻に動くタスク(ChatGPT は時刻を決めるなら有料。無料版は 1 日 1 回・おおまかな時間帯まで)。メールが届いた時に動くタスク(ChatGPT Plus と Google AI Pro)。使える量も増える | 1,400〜3,000 円ほど: ChatGPT Go 1,400 円、Google AI Pro 2,900 円、ChatGPT Plus 3,000 円、Claude Pro $20 | 第 6〜9 回、第 11 回 |
| 2. AI 社員の仕組みを通し、人が承認する | お客さんのメッセージなどが 1 件の仕事として登録され、AI の担当が下書きし、人が承認してから送る。仕組みを置いた PC か借りたサーバーは、電源を入れたままにする | ソフトは無料。中の AI は段階 1 の有料プランで動き、上限を早く使う | 第 12 回 |
| 3. 承認も任せる | 決まった型のある仕事は、種類ごとに、確認なしで AI の担当に送らせる | 段階 2 と同じプラン。動く回数が増える | 第 13 回(費用の下げ方と一緒に) |
| 4. 使った分だけ払う契約に移る | お客さんが千人、二千人といった規模で、返信を無人で回す会社だけが要る段階。返信ごとに払い、使う金額に上限を付ける。プランの規約に左右されにくくなる | 安い種類の AI(小さなモデル)なら、返信 1 件あたり 1 円未満(私の見積もり) | 第 14 回 |
段階 2 で費用が増えるのは、AI 社員の仕組みでの 1 回の実行が、直接頼むよりはるかに多くの文章を読むからです。私の Paperclip の構成では、直近 185 回のうち、ふつうの 1 回は約 46 万トークン(AI が読む文章の単位)を読んでいました(半分はこれより多く、半分は少ない)。これはブログ記事やメールなどの社内の仕事の数字です。お客さんのメッセージ 1 件に直接返すなら、私の見積もりでは数千トークンで済みます。AI 社員の仕組みを通すと、お客さんのメッセージ 1 件でも、仕組みが毎回読む指示や記録の分が上乗せされます。1 件でどれだけになるかはまだ測っていないので、連載の第 13 回で測ります。
有料のプランなら、請求額は同じままですが、プランの上限にずっと早く当たります。止めずに動かし続けるには、上のプランに上げるか、使った分だけ払う契約に移ることになり、そこで費用が増えます。連載の第 2 回で取り上げた公開の投稿(carlginmunsayac さんの Facebook 投稿)では、Paperclip で 4 つの担当を動かしたら、ひと晩で利用上限をほぼ使い切ったと書かれていました。
Paperclip の予算の機能でも、これは止まりません。前回の記事で書いたとおり、有料のプランで動いた分は費用 0 として記録されるので、予算の上限が効かないからです。私が測った数字と下げ方は、連載の第 13 回で書きます。
1 つ注意があります。有料のプランでお客さんに返信させることは、規約のグレーなところにあります。Anthropic の法律関係のページは、プランの上限は「ordinary, individual usage(通常の、個人としての利用)」を前提にしていて、Claude の上に製品やサービスを作る開発者は、使った分だけ払う開発者向けの契約(API)を使うべきだと書いています。自分のお店のために自分で動かすソフトがこれに当たるかは、書かれていません。小さな会社が、すでに持っているプランで始めるのは無理のないことだと私は思います。ただ、規約が変わって仕事が止まらないように、使った分だけ払う契約も作って、月の上限額を設定しておくと安心です。用意するだけなら費用はかかりません。いつ移るかは連載の第 14 回(規約が変わっても止まらないように、月額のプランから使った分だけ払う契約へ)で書きます。
「最低限」は、AI の部分を無料版の AI に頼む前提です。円とドルの価格は別々に書き、足し合わせていません。
1 つの AI のプランでまかなえるのは、書く・要約する・調べる部分です。会計ソフト、会議アプリ、チャットアプリの有料のオプションは、別の請求になります。
個人向けの AI のプランには、自分で切らない限り、会話を学習に使う(会社が次の AI を作る材料として、会話の中身を使う)ものがあります。お客さんのデータを AI に見せる前に、次の 5 つをやっておいてください。
連載の次の回(第 5 回・AI の契約はどれをいくつ)では、何をいくつ契約すればよいかを、やりたいことから引ける表にします。実際の手順は第 6 回からで、ChatGPT、Claude、Gemini の順に、サービスごとに 1〜2 つの仕事を任せていきます(上の表の「詳しく書く回」のとおりです)。
この記事の 10 の仕事のほかに、取り上げてほしい仕事があればコメントで教えてください。使い方の記事を追加します。
ここから先は、本編の補足です。必要な方だけ読んでください。
ここまでの話は、AI がクラウドで動く前提でした。データを外に出したくない、または使った分の費用を抑えたい場合は、AI のモデルそのもの(ローカル LLM)を手元の機械で動かす方法もあります。必須ではありません。
cloud が付くモデル(gemma4:cloud など)は、Ollama のクラウドで動きます。データを外に出したくないなら、Ollama の設定でクラウドを切れます(OLLAMA_NO_CLOUD=1)。AI 社員の仕組みを PC を閉じている間も動かしたくなったら、昼も夜も電源の入った機械が要ります。ここで比べるのは、常に動かす機械に Mac mini を買う場合と、小さなサーバーを月額で借りる場合の、3 年間の総額です。AI はクラウドで動く前提で、補足 A のローカル LLM の費用の比較ではありません。
常に動かす機械に置くのは、仕事をクラウドの AI に送るソフトだけなので、小さなサーバーで足りることが多いはずです。たとえば OpenClaw の公式のよくある質問(FAQ)では、メモリは最低 1GB、推奨は 2GB 以上とされています。Paperclip と、その中で動く Claude Code に要るメモリは確かめていないので、足りなければ下のメモリ 8GB の場合で考えてください。
この節の円の値段はすべて税込です。Mac mini(M6、メモリ 16GB、ストレージ 256GB)は 149,800 円(Apple)で、何もしていないときは 4 ワット、最大で 70 ワットです(Apple)。何もしていないときの電気代は月 89 円ほどです(4 ワット ÷ 1,000 × 720 時間 × 31 円 ≒ 89 円。31 円は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安の単価です。出典)。
常に動かす機械の 3 年間の合計。Mac mini を買う場合と、日本で借りられる 3 つの 2GB のサーバーを比べたもの(2026 年 10 月 16 日時点の価格)。下の図は、Mac mini の元が取れる時期です。
借りるサーバーは、ConoHa の 2GB が月 677 円(36 か月のキャンペーン価格で 10 月 29 日まで、前払い、更新後は月 903 円)、Xserver の 2GB が月 1,265 円(36 か月のプラン)、さくらの 2GB(東京)が月 1,958 円です。3 年間の合計は、それぞれ 24,372 円、45,540 円、70,488 円です。Mac mini の合計は、何もしていない 4 ワットのままなら 153,014 円、最大の 70 ワットでずっと動かすと 206,046 円です。
元が取れるまでの月数 = Mac mini の値段 ÷(サーバーの月額 − Mac mini の月の電気代)です。3 つのうちいちばん高いサーバーと比べても、149,800 円 ÷(1,958 円 − 89 円)≒ 80 か月、約 6.7 年です。動かすソフトがメモリ 8GB を要する場合は、メモリ 8GB のサーバー(Xserver、36 か月のプランで月 3,850 円)と比べることになり、元が取れるまでは約 3.3 年に縮みます。この計算には、AI が作業している間の電気代、売るときの値段、機械の面倒を見る自分の時間、家のインターネット回線は入れていません。
借りたサーバーでは Mac の代わりにならない場合もあります。OpenClaw の公式の説明は、iMessage や macOS のアプリを使わせたい場合、家のインターネット回線から接続していることが要る場合(データセンターからのアクセスを断るサイトがあります)、ログインしたままの、画面の見えるブラウザが要る場合を挙げています。この時は Mac mini を選ぶ意味があります。
比べるために、私の会社の構成も書いておきます。AI のプランは ChatGPT Pro、Claude Max 20x(Claude の個人向けの上位のプランのうち、月 $200 の段階)、Google AI Pro に払っています。常に動かす機械は、社内に置いた 2 台の CPU サーバー(AI 用のチップを積んでいない普通のコンピューター)です。AI のモデルそのものは、専用の機械(DGX)1 台で動かしています。Mac mini も持っていますが、AI には使っていません。
トップ 15 のもとになったデータについて:
このシリーズでは、個人事業主や小さな会社が、普段の仕事を AI の担当(AI 社員)に分けて任せ、人は確認と承認だけをする形を、順に作っていきます。始めはサブスクの範囲で、費用を式で見積もりながら進めます。Paperclip のように担当と承認で AI を束ねると費用は大きくなりますが、AI を直接使う値段に近づける方法も示します。シリーズの最後には、私が使っている Paperclip の設定・指示書・おすすめの形を無料で配布する予定です。 興味のある方は、ぜひ「いいね」と記事の購読をお願いいたします。
自社プロダクトは https://www.eln.ne.jp/products にまとめています。
上原正吉。EarthLink Network Co., Ltd. でAI開発をしています。2025年からClaude Codeを開発の主体に据え、今は20を超えるプロダクトを1人で同時に開発・運用しています。この連載では、その現場で実際に起きたこと(うまくいったことも、失敗も)を、数字と一緒に書いていきます。
また、AIで業務や開発を組み替えたい会社・チーム向けに、AI活用のコンサルティングも受け付けています。ご相談は www.eln.ne.jp からどうぞ。
EarthLink Network は、会社の全業務を AI で回すために、必要になったものを自社で作っています。いま作っているプロダクトの一覧と概要は、こちらにまとめています。
→ EarthLink Network が自社でつくっている18のプロダクト
会社と各プロダクトの詳細は、公式サイト www.eln.ne.jp をご覧ください。