上原正吉(EarthLink Network Co., Ltd.)。Claude Codeを開発の主体に据え、20を超えるプロダクトを1人で同時に開発・運用しています。これは、その現場の実測記です。

前回の記事では、「AI社員」「AI会社」を扱った投稿 2,716 件を、役割プロンプト・指示書ファイル・定期実行・常駐 1 体・複数エージェントの 5 つの段階に分けました。段階を上がるごとに、人のやることが「毎回頼む」から「承認だけ」に変わります。
その次に聞かれたのは、「じゃあ、どのアプリを使えば何ができるのか」でした。この記事では、Claude Code、ChatGPT(dots を含む)、それ以外の常駐エージェント、Paperclip、OpenClaw、そしてそれらを Mac mini で動かす場合について、できること・できないこと・向く人・向かない人を分けて並べます。
製品名で選ぼうとすると迷います。同じ製品でも、どの機能を使うかで段階が変わるからです。Claude Code は、CLAUDE.md という指示書のファイルだけで使えば指示書ファイル型です。Routines を使えば定期実行型になり、Channels を使えばチャットから話しかける常駐型になります。そこでこの記事は、やりたいこと → それをする機能 → 製品の順で引けるようにしました。
内容は 2026 年 10 月 14 日時点です。今年に入って何度も変わった事実があるので、必要なところには日付を付けています。
この記事は、ツールそのものの説明に寄せています。並べた事実を見て、どれが合うかを自分で判断できる人に向けた情報です。最後の「やりたいことから選ぶ」も、ツール単位の選び方です。「自分の仕事を自動にしたいが、何をそろえればいいのか分からない」という方に向けた話は、まだ書いていません。それは次の記事で書きます。次の記事では、メールの仕分けや要約、返信を自動にしたい、会計の処理を自動にしたい、Instagram のチェックを決まった時間にさせたい、LINE の返信を自動にしたい、といった普段の仕事から話を始めます。それぞれの仕事なら、どのアプリとどの機械をそろえればいいのかを、専門の知識がなくても分かるように説明します。自分の場合に Mac mini を買ったほうが得なのかも、次の記事で書きます。この記事の Mac mini の節に書いたのは、私の判断と一般的な条件までです。
前回の記事の 5 つの段階を、何がきっかけで動くかと合わせてもう一度並べます。
| 段階 | 何がきっかけで動くか | 人のやること(いちばん多いもの) |
|---|---|---|
| 役割プロンプト型 | 人が毎回頼む | 毎回頼む(87.1%) |
| 指示書ファイル型 | 人が起動し、中で分業する | 人が起動する(68.8%) |
| 定期実行型 | 時刻、またはメールの着信などの出来事 | 結果を読む(84.1%) |
| 常駐 1 体型 | 話しかける、または自分で再開する | 話しかける(61.6%) |
| 複数エージェント型 | 担当が担当に仕事を渡す | 承認だけ(54.3%) |
割合は、前回の 2,716 件の中で、その段階でいちばん多かった人の関わり方です。
もう 1 つの軸は、どこで動くかです。提供元のクラウド、自分の機械(ノート PC・Mac mini・借りたサーバー)、拡張機能を入れた自分のブラウザ、の 3 つがあります。これで 2 つのことが決まります。ノート PC を閉じても動き続けるか、そして手元のファイルやログイン済みの状態に届くか、です。
次の図は、製品ごとの機能を 5 つの段階に置いたものです。1 つの製品が複数の段階にまたがっているのが分かります。

こちらは、機能ごとにどこで動くかを示した図です。「PC の電源が要るか」と「手元のログインに届くか」の 2 つの境目があります。

表の中の用語: heartbeat は、一定の間隔で自分から起きて、やることがないか確かめる仕組みです。cron は、決まった時刻や間隔で仕事を動かす仕組みです。webhook は、外のサービスから呼ばれて動くきっかけです。
| ツール(機能) | 段階 | どこで動くか | 何がきっかけで動くか | 承認 | 費用の形 | PC を閉じても動くか |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Claude Code(CLI・Desktop) | 指示書ファイル〜常駐 | 自分の機械 | 人が頼む。/loop と Desktop の予約タスク(最短 1 分)、Channels、Remote Control | 6 つの権限モード。対話の初期値は auto | サブスクリプション(Pro 月 20 ドル〜) | 動かない |
| Claude Code の Routines・Projects | 定期実行・複数エージェント | クラウド | 時刻(最短 1 時間)、API、GitHub の出来事 | Routines は原則として承認なしで動く(新しいページの公開などは先に聞く)。Projects はスレッドの中で承認に答える | 同じサブスクリプション | 動く |
| Claude(旧 Cowork) | 定期実行 | クラウド(Pro・Max の新しいタスクは 2026-10-06 から全部) | 人が頼む、予約(毎時・毎日・毎週など。毎時より短くできるかは未確認) | 新しい画面では Manual・Auto | 同じサブスクリプション | 予約タスクは動く |
| ChatGPT dots | 常駐 1 体 | クラウド+任意で手元の PC 1 台 | 会話、自分で再開、会話で作る予約、アプリの出来事 | 自動の審査役が「進める・聞く・本人に任せる」を振り分ける | Pro・Business Premium・Enterprise | 動く |
| ChatGPT の定期タスク・Work・Codex | 定期実行 | Web はクラウド、デスクトップアプリは手元 | 時刻。Gmail・Slack・GitHub の出来事(Web) | 重要な操作の前に確認 | Plus 月 20 ドル〜 | Web は動く |
| OpenClaw | 常駐 1 体(複数エージェントも可) | 自分の機械 | チャットアプリ 33 種、heartbeat(既定 30 分)、cron、条件トリガー、webhook | 既定ではコマンドを承認なしで実行 | 無料(MIT)+モデル代+機械代 | サーバーに置けば動く |
| Paperclip | 複数エージェント | 自分の機械(サーバー+データベース) | heartbeat、routine(cron・webhook・API)、課題の割り当て | 雇用・戦略の承認は既製。業務の承認は自分で設計 | 無料+頭脳の代金+機械代 | 機械が起きていれば動く |
-p では使えない。私が毎日使っている Claude Code はこの形です。指示書のファイルと skills を使い、外部への送信は hooks で止めています。前回の記事の分け方では、指示書ファイル型です。
Cowork を Claude に統合することが 2026 年 9 月 16 日に発表され、Pro と Max から順に切り替わっています(Team と Free はその後)。10 月 6 日からは、Pro と Max の新しいタスクはすべてクラウドで動きます。
dots は、このシリーズの 1 本目で、実際の業務アカウントにつないで試しました。OpenAI のクラウドにある専用の PC とブラウザで動き、手元の PC を 1 台つなぐこともできます。
1 つ、決着していない点があります。OpenAI の公式の説明では、アプリ側の既存の権限設定は dots にも適用されます。一方、私の検証では dots が予定を確認なしで 1 回削除しました。公式と実機 1 回が食い違っているので、どちらとも断定しません。
codex exec を呼ぶ)。GPT-5.5 は 2026 年 10 月 14 日に ChatGPT・Work・Codex から廃止されました。GPT-5.5 を使っている古い例は、今はそのままでは使えません。
OpenClaw は、自分の PC やサーバーに入れて使う、無料のオープンソースのソフトです(MIT ライセンス)。Telegram・Slack・WhatsApp・iMessage・LINE など、ふだん使っているチャットアプリ(公式の一覧で 33 種)から話しかけると、その機械の上で作業します。AI のモデルは持っていないので、Claude や GPT などのモデルを別につなぎます。2026 年 1 月 30 日までは Clawdbot、Moltbot という名前で、今は OpenClaw Foundation が運営しています。
私は、Mac の Docker の中にバージョン 2026.10.3 を入れて確かめました。業務のアカウントも、チャットアプリも、何もつないでいません。使ったのは、最初から付いている Web の画面(Control UI)だけです。モデルは、OpenAI のデバイスコードのログインで自分の ChatGPT のサブスクリプションにつないだので、追加の料金はかかっていません。
チャットの 1 往復はできました。 何ができて、何に承認が要るかを聞くと、ファイルの編集・コマンドの実行・Web の閲覧ができ、壊す操作や外部への送信の前には確認する、と答えました。
既定の設定では、頼んだコマンドを承認なしで実行しました。 uname -a && whoami && date -u を実行してと頼むと、そのまま実行して結果を表示しました。既定の設定の承認の要約には「no approval prompts(承認を求めない)」とあります。

「cautious」の設定に切り替えると、承認の画面を出しました。 exec-policy preset cautious(許可リストにないものは人に聞く・聞けなければ拒否)に切り替えてから、メモを記憶に残してと頼みました。ファイルを読む前に、「Allow once(今回だけ許可)」「Always allow(常に許可)」「Deny(拒否)」の 3 つのボタンがある承認の画面が出ました。途中でもう 1 つ起きたことがあります。cautious に切り替えたあとは、コマンドが隔離された環境(bwrap)の中で動こうとして起動に失敗し、外で動かす要求も拒否されたので、ただの ls も実行されませんでした。モデルを ChatGPT のサブスクリプションの Codex でつないでいたので、承認の画面の見出しも「Codex app-server command approval」でした。この隔離と承認が OpenClaw の設定によるものか、つないだ Codex の側の動きかは、切り分けていません。

1 分ごとに設定した定期実行は、3 回続けて動きました。 cron add --every 1m で「今の UTC の時刻だけを答えて」と登録すると、09:08・09:09・09:10(UTC)に動き、モデルは毎回正しい時刻を答えました。どの回も「error」と記録されていますが、これは結果を届けるチャットアプリを何もつないでいなかったためです。3 回目のあと、次の予定は 5 分後(09:15 UTC)に延びていました(理由は確かめていません)。同じ画面には、入れた直後から登録されている仕事も並んでいます。30 分ごとの heartbeat、毎日 3 時(UTC。テスト環境の時刻)の記憶の整理(Memory Dreaming Promotion)、毎週の skill の見直しです。

記憶は、作業フォルダの Markdown ファイルに書かれました。 承認を求めない設定(exec-policy preset yolo)に切り替えてから、「テスト用のプロジェクト名は AICO-003、答えは短いほうがいい、と覚えて」と頼みました。OpenClaw は USER.md というファイルにこの 2 行を書き足し、どのファイルに書いたかを答えました。中身は普通のテキストなので、人が開いて読んだり直したりできます。
722 件の注意喚起を、危険の証拠としてだけ読むつもりはありません。問題を見つけて、公開して直した記録でもあります。事実として言えるのは設定のほうです。既定ではコマンドの実行モードが full(聞かずに実行する)で、公式は auto(許可リストにないコマンドは AI の審査役が判断し、危ないものだけ人に回す)に変えることを勧めています。
Claude のサブスクリプションで使えるか。 2026 年 10 月 14 日時点の Anthropic のサポート記事(10 月 7 日更新)では、外部のアプリでも、サブスクリプションの利用上限の範囲で使えるとしています。ただし Anthropic の規約では、Pro と Max の利用上限は普通の個人利用を前提にしています。また、この扱いは 2026 年に 5 回変わっていて、OpenClaw 自身も「Anthropic の記事が変われば扱いが変わる」と注意しています。OpenAI については、OpenClaw の公式文書がサブスクリプションでのログインを認めているとしていて、私もその方法で使いました。
Paperclip は、AI のエージェントに組織図・担当・予算・承認を持たせる、ソースコードが公開されているソフトです。Paperclip 自体は考えません。中で働く社員は Claude Code・Codex・OpenClaw などです。Paperclip を入れると、複数エージェント型の段階に上がります。担当が仕事を終えると、人を通さずに次の作業を別の担当に渡します。
私は「AI Office」という名前で、自分の秘書として動かしています。10 月 14 日時点で、担当は 7 つ(全員が私のサブスクリプションの Codex で動く)、routine は 4 本(たとえばメールの担当は毎時 7 分に起きる)、課題の番号は 668 まで進み、画面で判断した承認は 72 件です。
Mac mini は、別のツールではありません。「どこで動くか」の値の 1 つで、寝ない設定にした自分の機械です。Apple は今年 8 月のページで、Mac mini を常に動かす AI エージェントに最適だと紹介しています。一方、OpenClaw の FAQ は、Mac mini は必須ではなく、VPS(月額で借りる仮想サーバー)や Raspberry Pi でもよいとしています。この 2 つは食い違いではありません。仕事しだいです。
私の判断はこうです。Mac mini は持っていますが、AI には使っていません。ローカル LLM を動かす機械がほかに無いなら、Mac mini は必要になります。ただ、Claude Code や Codex をクラウドのモデルで使う限りは、私の会社で常時動かしている Linux の CPU サーバー(ci1・ci2 という 2 台)のような機械のほうがコストに見合います。LLM のためには NVIDIA の DGX を購入したので、その用途でも Mac mini の必要性を感じていません。
調べた範囲の整理では、Mac mini を置く意味があるのは、iMessage や macOS のアプリのように Mac にしかできない仕事がある場合か、ローカル LLM を動かす機械をほかに持っていない場合です。
| やりたいこと | まず使うもの |
|---|---|
| 自分のコードやファイルの中で、見ながら AI に作業させたい | Claude Code(または Codex CLI) |
| 決まった時刻に報告や要約がほしい。PC は閉じておきたい | Claude Code の Routines、Claude の予約タスク、ChatGPT の定期タスク |
| 話しかけると動き、自分から報告してくる秘書がほしい | ChatGPT dots(Pro)。サーバーを管理できるなら OpenClaw |
| 自分の機械で、数分ごとに動かしたい | OpenClaw、または launchd・cron から Claude Code や Codex を呼ぶ |
| 複数のエージェントが仕事を渡し合い、人は承認だけにしたい | Paperclip(社員に Claude Code・Codex・OpenClaw) |
| Mac にしかない仕事(iMessage・macOS のアプリ)を夜も任せたい | 「自分の機械」で動くツールを Mac mini に置く |
OpenClaw は、アカウントを何もつながないコンテナの中だけで試しました。Routines・Projects・Channels・Claude Tag・Hermes・Mac mini での運用は自分では試しておらず、その部分は公開されている情報によるものです。
このシリーズでは、仕事を任せられる AI エージェントを実際の業務につないで動かし、何ができて何ができないかを順次確かめていきます。 興味のある方は、ぜひ「いいね」と記事の購読をお願いいたします。
自社プロダクトは https://www.eln.ne.jp/products にまとめています。
上原正吉。EarthLink Network Co., Ltd. でAI開発をしています。2025年からClaude Codeを開発の主体に据え、今は20を超えるプロダクトを1人で同時に開発・運用しています。この連載では、その現場で実際に起きたこと(うまくいったことも、失敗も)を、数字と一緒に書いていきます。
また、AIで業務や開発を組み替えたい会社・チーム向けに、AI活用のコンサルティングも受け付けています。ご相談は www.eln.ne.jp からどうぞ。
EarthLink Network は、会社の全業務を AI で回すために、必要になったものを自社で作っています。いま作っているプロダクトの一覧と概要は、こちらにまとめています。
→ EarthLink Network が自社でつくっている18のプロダクト
会社と各プロダクトの詳細は、公式サイト www.eln.ne.jp をご覧ください。