前の会話の一覧では、返事待ちの続きが見分けられない ── 待っている作業だけを再開メモで一覧にする

上原正吉(EarthLink Network Co., Ltd.)。AI会社・AI社員による業務自動化と、人の逐次介入なしに24時間自動開発を回す仕組みを自社で実践しています。開発ノウハウと具体的な設定方法、運用して分かった改善点を公開しています。

前の会話の一覧では、返事待ちの続きが見分けられない ── 待っている作業だけを再開メモで一覧にする

前の会話の一覧では、返事待ちの続きが見分けられない ── 待っている作業だけを再開メモで一覧にする

AI にプログラムの仕事を頼むと、途中で返事待ちになることがよくあります。Claude Code でも Codex でも、ほかの AI でも同じです。別のリポジトリ(プログラム一式の置き場)の担当に依頼を出した、変更のレビューを頼んで返事を待っている、人に確認をお願いした。どれも、返事が来るまで AI にできることはありません。

返事を待つ間も、その AI のセッション(AI との 1 回分の会話)は閉じずに残していました。閉じても前の会話には戻れますが、戻るための一覧では、返事待ちの続きと、もう終わった会話の見分けがつかないからです。待っている間に別のセッションで別の仕事を始め、そこでも返事待ちになると、閉じられないセッションがまた 1 つ増えます。

この回では、この困りごとのために作ったスキル eln-park を紹介します。待ちに入った作業に「再開メモ」を残し、次にそのリポジトリで起動した時に、続きが残っている作業だけを一覧で出します。説明文と番号で選んで続けられます。

今回作った eln-park は Claude Code 用です。Claude Code が決まったタイミングで自動で実行するスクリプト(hook)を使うので、今は Claude Code の上でだけ動きます。ただ、待ちに入った作業に「何の作業か・何を待っているか・次にすること」を書いたメモを残し、次に起動した時に一覧で見せる、という考え方は、Codex でもほかの AI でも同じです。

自社の Claude Code 用プラグイン ELN workflow での話です。eln-park は、連載の入口の回(規律は文書ではなくスキルで配る — ELN workflow の165スキルを紹介します)を 2026 年 9 月に公開した後、10 月に加えたスキルです。その回で紹介した 165 個には入っていないので、連載の追補として紹介します。

結論

  • 一覧に並ぶのは、続きが残っている作業だけです。 前の会話に戻る一覧(claude --resume)とちがい、終わった会話と混ざりません。eln-park は、待ちに入った作業ごとに「再開メモ」という小さな記録を残し、その再開メモだけを一覧にします。
  • 再開メモには、何の作業か・何を待っているか・次にすることが書かれます。 会話の記録の場所も持つので、セッションを閉じても続きの情報は消えません。
  • メモの残し忘れは、仕組みが拾います。 私たちは Claude Code に、応答の最後に進み具合(何 % か)と残り(何が残っているか)のまとめを必ず付けさせています。そのまとめから未完と分かれば、次に同じリポジトリで Claude Code を起動した時に、自動で再開メモになります。
  • 次に起動すると、一覧が出ます。 同じリポジトリで Claude Code を新しく起動すると、再開メモが新しい順に並びます。「1 の続き」と言えば、そのセッションで続きを引き受けます。
  • 間違った続きを引き受けないよう、断る場面があります。 別のセッションがまだその作業をしている時、今のセッションのブランチ(同じリポジトリの中で作業を分けて進めるための枝分かれ)がメモのブランチと違う時、このセッションがもう別のメモを担当している時は、引き受けずに理由を返します。
  • 人はセッション ID を扱いません。 ID は仕組みが自分で拾ってメモに持たせます。人が見るのは、リポジトリごとの小さな番号と題名だけです。元の会話そのものに戻りたい時も、ターミナルで cpark 1 と打つだけです。

本文(読了 約11分)

困っていたこと

eln-park を作ったのは 2026 年 10 月 4 日です。その日に私が困っていたことを並べると、次の 3 つでした。どれも Claude Code に限らず、AI に仕事を任せていれば起きることです。

  1. 前の会話に戻る一覧では、待っている続きが見分けられない。 これがいちばんの問題でした。Claude Code は会話の記録を手元のファイルに残していて、セッションを閉じても会話は消えません。claude --resume を打てば、前の会話の一覧から選んで戻ることもできます。けれども、その一覧には返事待ちの会話も、もう終わった会話も区別なく並びます。何を待っているのか、その返事が来たのかも書かれていません。同じリポジトリでいくつもの作業を進めていると、どれが待っている続きなのか分からなくなります。Codex にも codex resume という、前の会話を一覧から選んで戻る同じような手段があります。
  2. だから、返事を待つセッションを閉じられず、増えていく。 同じリポジトリで、いくつもの Claude Code のセッションを同時に動かしていました。依頼を出して返事を待つ間、そのセッションは閉じられません。待っている間に別のセッションで別の依頼を出すと、閉じられないセッションがまた増えます。
  3. ID を控えても、似た続きを見分けられない。 セッション ID を指定すれば、一覧を使わずに直接戻れます。けれども、それには ID を人が控えておく必要があり、控える ID が増えるほどごちゃごちゃします。たとえばインフラ(サーバーや権限の設定)の修正の続きが 2 つあると、ID を見てもどちらがどちらか分かりません。

足りなかったのは、待ちに入った作業だけを、何を待っているかの説明文つきで並べ、人が覚えていなくても選べる一覧でした。

仕組みの全体

eln-park がすることは、次の 7 つです。番号は、このあとの節の番号と同じです。

  1. 再開メモを残す。 待ちに入ったら、/eln-park で再開メモを作ります。
  2. 残し忘れても、自動で残す。 セッションを閉じると印が残り、次に同じリポジトリで Claude Code を起動した時に、まとめを読んで再開メモにします。
  3. 起動した時に一覧を出す。 同じリポジトリで Claude Code を新しく起動すると、再開メモが一覧で出ます。
  4. 引き受ける。 今のセッションで続けるなら「1 の続き」と言い、そのセッションがメモ 1 を引き受けます。引き受けてよいかを、その場で確かめます。
  5. 続ける。 引き受けたセッションは、引き継ぎの内容を読み込んで続けます。元の会話そのものに戻りたい時は、「1 の続き」とは言わずに、ターミナルで cpark 1 と打ちます。
  6. 何を待っているかの状態を確かめる。 依頼のカードや PR(プルリクエスト。変更を本流に取り込む前に出すレビューの依頼)に動きがあったかを、続きを選ぶ時に確かめます。
  7. 片付ける。 終わったメモは、消さずに片付け用の場所へ移します。完了と分かったメモは自動で片付きます。

再開メモは、手元の Mac のホームディレクトリの下に置きます。git には入れません。メモの中身は、題名、何を待っているか、次にすること、Claude が書いた引き継ぎ本文、応答の最後のまとめの履歴、元の会話の記録の場所です。保存するファイルは本人だけが読める権限にしています。

以下、順に実際の画面で見ていきます。図は、私の本物の記録とは切り離した置き場で eln-park を動かした実際の出力です。図の中の「タブ」はセッション、「駐車」は再開メモを残すこと、「票」は再開メモのことです(eln-park の画面の文字をそのまま載せています)。

1. 再開メモを残す

返事待ちに入ったところで /eln-park と打つと、Claude が再開メモを作ります。人が打つのは /eln-park だけです。Claude は裏で eln-park.sh park というコマンドを実行し、題名・何を待っているか・次にすること・引き継ぎ本文を渡します。図 1 は、そのコマンドと結果です。

セッションA(ブランチ feat/iam-least-privilege)で /eln-park と打った時に、Claude が裏で実行するコマンドと結果の端末の図(実出力の再構成・2026 年 10 月 27 日に撮影)。コマンドの行は、eln-park.sh park に題名「IAM ポリシーの最小権限化 — infra-ops の handoff 返答待ち」、待つものの種類 manual、依頼の内容、次にすること、引き継ぎ本文のファイルを渡すもの(値の一部は「…」で省いた表示)。結果として、画面の固定の文言で「駐車しました: [1] IAM ポリシーの最小権限化 — infra-ops の handoff 返答待ち — 待ち: 手渡し infra-ops に許可リストを依頼 ❔」と「このタブは閉じて大丈夫です。次にこの repo を開くと一覧に出ます。」の 2 行が返っている。

図 1 は、AWS の利用権限(IAM)を必要な分だけに絞る作業で、インフラを担当する別のリポジトリに依頼を出し、返事待ちになった場面です。最後の行は、メモが残ったので、このセッションを閉じても次の起動時の一覧から選べる、という知らせです(画面の文字は「このタブは閉じて大丈夫です」)。

題名の書き方には決まりがあります。「何の作業か — 何を待っているか」の形にします。スキルの説明には、悪い例として「infra の修正」、良い例として「IAM ポリシーの最小権限化 — infra-ops の handoff 返答待ち」が書いてあります。似た続きを見分けにくいという困りごと(困りごとの 3 番)への答えが、この題名です。

何を待っているかは、次の 6 種類から選びます。1 列目は、メモに書く種類の名前です。

種類何を待つかその場で状態を確かめるか
usesources自社の情報管理サービス UseSources のタスク機能に出した依頼のカード(自社の自動実行の仕組み commander に送った依頼もこれです)確かめる
asanaAsana(タスク管理のサービス)のタスク確かめる(Asana に接続する設定がある時)
prGitHub の PR確かめる
commandercommander の作業そのもの確かめない
manual人への手渡し確かめない
unknown分からない(自動で残したメモは全部これ)確かめない

種類を省くと manual(手渡し)になります。

2. 残し忘れても、自動で残る

/eln-park を毎回きちんと打てれば一番よいのですが、実際には打たずに閉じることのほうが多くなります。そこで、打ち忘れたまま閉じたセッションも拾うようにしました。

判断に使うのは、応答の最後のまとめです。私たちの Claude Code では、応答の最後に必ず 3〜4 行のまとめを付けるように決めていて、タスク: 60% のような進み具合と、残: の行(まだ取り込んでいない PR などが入ります)があります。Claude Code に元からある機能ではありません。

仕組みは次のとおりです。

  1. 応答のたびに、控えを書く。 Stop の hook(応答を返し終えた時に実行されるスクリプト)が、応答を返し終えるたびに、そのセッションの控え(セッション ID、作業場所、ブランチ、応答の末尾のまとめなど)を小さなファイルに書きます。
  2. 終わる時は、印だけ付ける。 SessionEnd の hook(終了する時に実行されるスクリプト)は持ち時間が短い(調べた時点の Claude Code では 1.5 秒)ので、「終わった」という印を付けるだけにしています。
  3. 次に起動した時に、まとめて判断する。 同じリポジトリで次に Claude Code を起動した時に、終わったセッションの控えを読み、まとめで判断します。ターミナルで cpark を実行した時なども同じです。

判断の決まりは、次のとおりです。

  • 未完と見なす。 タスク が 100% 未満の時、または 残: に「なし」以外の値(たとえば unmerged=PR#12)がある時です。PR のレビュー待ちは、作業が 100% でも残があるので、ここに入ります。再開メモを作り、題名にはまとめの作業名を、次にすることには 次: の行を入れます。
  • 完了と見なす。 100% で、残が「なし」の時です。そのセッションが担当していたメモがあれば、自動で片付けます。
  • 何もしない。 そのセッションの応答に、一度もまとめが無かった時です。メモは作らず、既存のメモも変えません。最後の応答にまとめが無くても、それより前の応答にまとめがあれば、一番新しいまとめで判断します。

git の状態(まだコミットしていない変更があるかどうか)では判断しません。同じフォルダを別のセッションが使っていると、そちらの変更まで拾ってしまうからです。また、何度やり直しても結果が同じになるよう、処理済みの控えには印を付けています。

セッションを自分で閉じたのではなく、ターミナルごと落ちた場合も拾います。「生きているか」は経過時間ではなく、Claude Code のプロセスがまだ動いているかで決めています。返事待ちで何時間も開けたままのセッションは、生きているものとして扱います。

3. 起動した時の一覧

図 2 は、図 1 のセッションA を閉じた後、別のセッションB で PR を出し、/eln-park を打たずに閉じてから、3 つ目のセッションC を同じリポジトリで始めた時の一覧です。

同じリポジトリで新しい Claude Code のセッションC を始めた時に、起動時に実行される hook(SessionStart)が出す文字(実出力の再構成・2026 年 10 月 27 日に撮影)。画面の固定の見出し「🅿️ 駐車中の続き (demo-app)」の下に、[2] 決済 webhook の署名検証 — 待ち: 不明 ❔ · feat/billing-webhook · 次: レビューを反映して merge · 0分前 (自動) と、[1] IAM ポリシーの最小権限化 — infra-ops の handoff 返答待ち — 待ち: 手渡し infra-ops に許可リストを依頼 ❔ · feat/iam-least-privilege · 次: 返答の許可リストで policy を書き直す · 0分前 の 2 行が並び、最後に「「N の続き」と言えばこのタブで続けます。元の会話を再開するならターミナルで cpark N。」と出ている。

[2] の末尾に (自動) と付いています。セッションB では /eln-park を打っていません。最後の応答のまとめが「タスク 80%・残 unmerged=PR#12」だったので、セッションC を起動した時に自動で再開メモになりました。題名は、まとめの作業名「決済 webhook の署名検証」がそのまま使われています。

一覧の決まりは次のとおりです。

  • 出すのは、新しく起動した時と /clear(会話を空にして始め直すコマンド)の時だけです。 会話を圧縮した時や、過去の会話に戻った時には出しません。
  • 同じ一覧を 2 か所に出します。 人が見る画面向けと、Claude が読む文脈向けです。Claude 向けには、「N の続き」と言われた時の手順も一緒に渡します。
  • 新しい順に 8 件までです。 それより多い時は「ほか N 件」と出し、cpark で全部見られます。
  • 状態の印が付きます。 別のセッションが作業中のメモには 🔵 の印(画面の文字は「別のタブで作業中」)、14 日を超えたメモには「(14 日以上前)」が付きます。
  • 一覧を出す時は、外部に問い合わせません。 何を待っているかの状態を確かめるのは、引き受けた後にメモの中身を読み込む時(brief。5 で説明します)と、ターミナルで cpark の一覧を出す時だけです。起動を遅くしないためです(6 で説明します)。

番号は、リポジトリごとの連番です。一度使った番号は、片付けた後も再利用しません。「さっきの 3」が別の作業を指してしまわないようにするためです。git の worktree(同じリポジトリを別のフォルダに展開したもの)で起動しても、元のリポジトリが同じなら同じ一覧になります。

セッション ID は、Claude Code が hook の入力と環境変数で渡してくれます。eln-park はそれを自分で拾ってメモに持たせるので、人が ID を控える場面はありません。一覧・メモを残す時・引き受け・brief のどの出力にも ID は出ず、cpark が claude --resume に ID を渡すところも人からは見えません。

4. 「1 の続き」で引き受ける

一覧を見て「1 の続き」と言うと、Claude はまず eln-park.sh claim 1 を実行して、そのセッションでメモ 1 を引き受けてよいかを確かめます。引き受けてから中身を読む、という順番がポイントです。先に引き受けておかないと、別のセッションと同じ続きを二重に進めたり、違うブランチの上で続きを始めたりしてしまうからです。

「1 の続き」の引き受けと、断られる場面の端末の図(実出力の再構成・2026 年 10 月 27 日に撮影)。ブランチ main のセッションC で claim 1 を実行すると「引き受けられません: この票は branch feat/iam-least-privilege の作業ですが、このタブは main です。」と断られる(画面の固定の文言)。ブランチを feat/iam-least-privilege に切り替えて再度実行すると「引き受けました: [1] …」と表示される。続けて別のセッションD で claim 1 を実行すると「引き受けられません: [1] は別のタブで作業中です (/work/demo-app)。」と断られ、その後の list では [1] の行の末尾に「🔵 別のタブで作業中」が付いている。

図 3 では、断られる場面を 2 つ撮りました。

  • ブランチが違う。 セッションC は main で起動していましたが、メモ 1 は feat/iam-least-privilege の作業です。違うブランチの上で続きを始めると、変更が別のブランチに入ってしまいます。そこで引き受けずに、ブランチを合わせるか、cpark 1 を使うよう案内します。ブランチそのものが消えていた時は、今のブランチで引き受けて、その旨を表示します。
  • 別のセッションで作業中。 セッションC が引き受けた後に、セッションD でも「1 の続き」と言うと断られます。同じ続きを 2 つのセッションで進めると、どちらの変更が正しいのか分からなくなるからです。

このほか、1 つのセッションが引き受けられるメモは 1 件だけです。すでに別のメモを担当しているセッションで別の続きを言うと、断ります。

断られた時、Claude は理由と案内をそのまま伝えて止まります。断られた理由を飛ばして別の方法で続けることはしない、とスキルに書いてあります。番号でなく「IAM の続き」のように説明で言われた時は、題名から番号を探します。当てはまるメモが 2 つ以上あれば、候補を並べて 1 つだけ質問します。

5. 続け方は 2 通り

続け方は 2 通りあり、どちらか 1 つを選びます。今の新しいセッションで続けるなら「1 の続き」と言い、元の会話そのものに戻るなら、「1 の続き」とは言わずにターミナルで cpark 1 と打ちます。

今のセッションで続ける

1 つ目は、今の新しいセッションで続ける方法です。「1 の続き」で引き受けた後、Claude は eln-park.sh brief 1 を実行して、メモの中身を読み込みます。

引き受けた後に読み込む中身(brief)の端末の図(実出力の再構成・2026 年 10 月 27 日に撮影)。見出し「# [1] IAM ポリシーの最小権限化 — infra-ops の handoff 返答待ち」の下に、待ち、branch と作業場所(/work/demo-app)、「次の一手」の行が並ぶ。続く「## 引き継ぎ本文」には「目的」「決まったこと」「待ち先」「次の一手」の 4 行、「## 経過 (recap の履歴)」にはタスク 60% のまとめ 1 行、「## 元の会話の最後の 2 件」には user の依頼と assistant の返事が出ている。

図 4 のとおり、brief には次のものが出ます。

  • メモの要点。 何を待っているかの今の状態、ブランチ、作業場所、次にすることです(画面では「次の一手」と表示されます)。
  • 引き継ぎ本文。 メモを残した時に Claude が書いた、目的・決まったこと・何を待っているか・次にすることです。
  • 経過。 応答の最後のまとめの履歴です(新しいものから最大 20 行をメモに残します)。
  • 元の会話の最後の数件。 最大 6 件を、1 件 1,500 字まで出します。

新しいセッションの Claude は、これを読んでから作業に入ります。元の会話の全部を読み込むわけではないので、会話の文脈を引き継ぐのは、引き継ぎ本文と経過と最後の数件です。

元の会話そのものに戻る

2 つ目は、ターミナルで cpark 1 と打つ方法です。これは Claude Code の claude --resume <ID> で、元の会話そのものを再開します。別のセッションがそのメモを引き受けて作業している間は、cpark も「別のタブで作業中」と断ります。同じ続きを 2 か所で進めないためです。違いは、ID を人が持たないことに加えて、次のことを先に済ませる点です。

今のセッションで続ける(「1 の続き」)元の会話に戻る(cpark 1)
誰が打つか人が Claude に言い、Claude が引き受けて brief を読む人がターミナルで打つ
会話新しいセッションに、引き継ぎ本文と経過を読み込む元のセッションをそのまま再開する
作業場所今のセッションのまま元の作業場所に移ってから再開する(claude --resume は、その会話を作ったフォルダでないと見つからないため)
アカウント今のセッションのままメモに記録したアカウントの設定で起動する
ブランチ違えば断る違えば再開せず、git switch を案内する
作業場所の worktree が消えていた時関係ない作り直してよいかを聞き、よければ作り直してから再開する
元の会話の記録が消えていた時控えから読む控えから元の場所に戻してから再開する

最後の行の「控え」について説明します。Claude Code は、古い会話の記録を消すことがあります。eln-park は、会話の記録のファイルにハードリンク(同じ中身を別の名前でも指せるようにする仕組み)を張っておきます。元のファイルが消えても、中身は残るので、そこから戻せます。どのメモからも指されなくなった時にだけ消します。

cpark は、最初に一度だけ eln-park.sh install で手元に置く必要があります。名前は、C 言語のコンパイラの cc とぶつからないように選びました。

6. 何を待っているかの状態を確かめる

何を待っているかの今の状態は、brief を読む時と、ターミナルで cpark の一覧を出す時に確かめます。Claude Code を起動した時の一覧では確かめません。

  • 確かめるのは 3 種類です。 UseSources の依頼カード、Asana のタスク、GitHub の PR です。依頼カードの完了や状態の変化、Asana のタスクの完了、PR の取り込みか close、または新しいコメント(PR ではレビューも)のどれかがあれば ✅、どれも無ければ ⏳ を付けます。
  • 5 秒で打ち切ります。 終わらなかったメモは ❔「時間切れ」にします。前回の結果があれば、それも並べて出します。
  • 読めなかった時も、⏳ にはしません。 「動きが無い」と「読めなかった」を区別するためで、印は ❔ です。UseSources の依頼カードでは、読めなかった理由も出します。
  • commander と手渡しは確かめません。 いつも ❔ です。

私たちは今、範囲の決まった作業を、手元のセッションで抱えずに commander(作業を自動で実行する自社の仕組み)に送るようにしています。送る手順の最後には再開メモを作る手順を入れてあり、何を待っているかには送った依頼のカードを書きます。0.410.0 の版からは、そのカードが完了になると「✅ 完了・続けられる」と出るようになりました。完了の印が出たら、成果の PR やコメントを確かめてから続ける、とスキルに書いてあります。待つのは人が開けたままのセッションではなく、再開メモです。

7. 片付けは、移すだけ

終わったメモは eln-park.sh done 1 で片付けます。片付けは削除ではなく、片付け用の場所に移すだけです。90 日の間は restore 1 で一覧に戻せます。日数を指定して古いメモをまとめて片付ける prune もあります。

別のセッションが作業しているメモは、done で片付けられません。片付けられるのは、そのセッションを閉じた後です。引き受けたセッション自身からは、done で片付けられます(0.413.2 の版から)。自動で片付くのは、さきほどの「完了と見なす」決まりに当たった時だけです。

締め

返事待ちの AI のセッションを開けっぱなしにしていた理由は、閉じると、終わった会話と混ざって続きが見分けられなくなるからでした。eln-park は、その「続き」を説明文つきの再開メモとして残し、次に起動した時に、続きが残っている作業だけを番号で選べるようにしました。残し忘れても自動で残り、間違った続きを引き受けそうな時は断ります。

今回作ったのは Claude Code 用ですが、待ちに入った作業にメモを残して閉じ、次に起動した時に一覧から選ぶ、という考え方は Codex でもほかの AI でも同じです。開けたままのセッションが増えて困っている方の参考になればうれしいです。同じような困りごとを、別のやり方で解決している方がいれば、ぜひ教えてください。

補足: 前提と用語

  • Claude Code と Codex。 Claude Code は Anthropic が、Codex は OpenAI が提供している、AI にプログラムの作業を頼めるソフトウェアです。
  • セッション。 AI との 1 回の会話を、セッション(session)と呼びます。Claude Code では、ふつうは起動するたびに新しいセッションが始まります(claude --resume で前の会話に戻ることもできます)。
  • hook。 Claude Code が決まったタイミング(起動した時、応答を返し終えた時、終了する時など)に自動で実行するスクリプトです。起動した時のものを SessionStart、応答を返し終えた時のものを Stop、終了する時のものを SessionEnd と呼びます。hook で起動時に情報を見せる考え方は、連載の別の回(AIが既存決定を無視する本当の理由 — ADR文脈自動注入hookの手法)で書きました。
  • 画面について。 この回の図は、eln-park(ELN workflow 0.410.2 の版に固定)を、私の本物の記録とは切り離した置き場で動かした実際の出力です。端末のスクリーンショットは文字が小さくなるので、出力の文字はそのままに、見やすい端末の図に組み直しました。コマンドの行は、長い引数の値を「…」で省くなど、読みやすく書き直した表示です。撮影用の置き場のパスは長いので、/work に置き換えています。# で始まる灰色の斜体の行は場面の説明で、ツールの出力ではありません。リポジトリ名の demo-app と、作業の題名・依頼先は撮影用に作ったものです。起動時の一覧(図 2)は、SessionStart の hook が画面に出す文字そのものです。状態の印の ❔ は白い疑問符で、図では「?」のように見えます。

この ELN workflow(AI開発の品質を仕組みで守る自社プラグイン)についての記事は、考え方・スキルの中身・実際に防いだ事故を、順次シリーズとして公開していきます。 興味のある方は、ぜひ「いいね」と記事の購読をお願いいたします。

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筆者について

上原正吉。EarthLink Network Co., Ltd. 代表。AI社員に日々の業務を任せ、開発では人が逐一指示しなくても作業が進むHOOTL(Human Out Of The Loop)の仕組みを自社で実践しています。このブログでは、業務自動化と24時間自動開発のノウハウ、具体的な設定方法、日々の運用で見つかった問題と改善を共有します。

また、AIで業務や開発を組み替えたい会社・チーム向けに、AI活用のコンサルティングも受け付けています。ご相談は www.eln.ne.jp からどうぞ。


EarthLink Network は、会社の全業務を AI で回すために、必要になったものを自社で作っています。いま作っているプロダクトの一覧と概要は、こちらにまとめています。

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